ジョビン作品について

前回の投稿から間が空いてしまいましたが、ジョビン作品に関して。

ジョビンの音楽は、所謂ブラジル音楽を踏襲したものとはだいぶ違います。
ジョビンの作品はボサノヴァでない曲のほうが多いので、本当は「ボサノヴァライブ」と銘打つのはどうかな?と 思ったのですが、広く認知されている曲はやはりボサノヴァ様式のほうだと思います。

今回、前半は初期の作品を中心に、特にジョビン&ヴィニシウスの原点「黒いオルフェ」を軸に構成しました。
初期の作品というのは、どの作曲家でもその人の特色がかなり色濃く出ているような気がします。
この「黒いオルフェ」は、ジョビン音楽の原色パレットのような作品集だと思います。

後半は、ジョビンの深い精神性の部分に焦点を当てました。
特に「三月の水」「Dindi」の2曲は、何とも説明し難いのですがまさにジョビンの心象世界を表した曲だと思います。
とても美しい2曲です。
これより後期の作品になってくると、より精神性が深みを増して、神々しいくらいです。

私が作曲家アントニオ・カルロス・ジョビンをなぜ敬愛しているかというと、壁を隔てていないからだと思います。
ジャンルや様式や民族を限定することなく、さらに詩と旋律、歌と器楽などという壁もない、全てがジョビン音楽というサークルの中では自然に調和しているような感じがします。
それは私自身が理想としているところでもあります。

ジョビンの人生は苦悩が多かったようですが、考え方はかなりポジティブで明るい人だったようです。
彼の根底にあった「日々新しく生れている」という思想は、やはりブラジルの大地によって育まれたものでしょうか。

Popular Posts