『夜、うつくしい魂は涕いて 中原中也14の歌』制作のはなし⑥

先日嬉しいニュースが飛び込んできました。詩人の佐々木幹郎さんが第一回大岡信章を受賞されました。おめでとうございます!

佐々木幹郎さんは、数々の素晴らしい詩を発表され、その英訳本が昨年アイルランドで出版されるなど、海外でも注目される日本を代表する現代詩人のお一人です。
佐々木さんはご自身の詩作と同時に、中原中也の研究にも多くの年数を捧げられ、中也全集の編集や中也に関する著作を手掛けられています。
私が佐々木幹郎さんを知ったのは、ご著書『中原中也 悲しみからはじまる(みすず書房)』を読んだのが最初です。これまで読んだ中也関連の本とはまるきり違うのがすぐにわかりました。その丁寧に詩の性格や成り立ちに迫っていく文章にとても感動し、佐々木さんのお名前は私の中に深く刻まれました。そのあとしばらくして、2017年に新たなご著書『中原中也 沈黙の音楽(岩波新書)』(これも素晴らしい本です)を出版されたときに、下北沢の小さな本屋さんで佐々木さんがトークイベントをされると知り、思い切って会いに行きました。もちろん、CDと手紙を持って。私が記憶する限りでは、その手紙にこんなことを書きました。
「佐々木さんのご著書にとても感動しました。今度リリースする私のアルバムに文章を書いていただけませんか。云々。」
今思うとなんて図々しいんだろうと恥ずかしくなりますが、佐々木さんは快くCDと手紙を受け取って下さり、「また連絡します」とおっしゃってくださいました。こういうときにはほとんど連絡は来ないものだと思っていましたが、それからそんなに日を空けずに、本当に連絡をいただけたのです。大森の駅前の喫茶店でお会いしてお話をさせていただきました。佐々木さんはとても穏やかな方で、楽しい話をたくさん聞かせてくださいました。お話できるだけでもとても幸せなのに、私の音楽をとても褒めてくださり、なんと文章を書いてくださるとのお返事でした。なんて素晴らしいことでしょう!最も嬉しかったことは、私の音楽を聴いてくださって気に入ってくださり、私の中也への思いも受け取ってくださって、お返事をいただけたこと。このことはとても励みになりましたし、感動しました。
今回のアルバムには、前述した通り、豪華ブックレットが付いています。その中に、佐々木幹郎さんがこのアルバムのために寄せてくださった文章とその英訳が収録されています。その文章は私にとって本当に本当にかけがえのない宝物です。
ぜひアルバムを手に取って、文章を読んでいただきたいです!
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佐々木幹郎(ささき・みきろう)
1947年奈良に生まれ大阪で育つ。ミシガン州立オークランド大学客員研究員(Poet in residence)、東京藝術大学大学院音楽研究科音楽文芸非常勤講師を歴任。1970年の第一詩集『死者の鞭』(構造社)で出発し、その後の詩集に、『蜂蜜採り』(書肆山田、第22回高見順賞)、『明日』(思潮社、第20回萩原朔太郎賞)など。評論・エッセイ集に『中原中也』(筑摩書房、第10回サントリー学芸賞)、『アジア海道紀行』(みすず書房、第54回読売文学賞)など多数。『新編中原中也全集』全6巻(角川書店)責任編集委員。
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